フレームオーダー
私は自転車に乗って10年、これで三台目のロードバイクとなります。
少しフレームオーダーのきっかけをお話しますと、内反小趾の足の痛みで、10km走っただけでも自転車が乗るのが辛くなり、靴だけの問題ではないとバイクフィッティングへ。
おかげで足の痛みはなくなりましたが、フレームサイズが大きくフィッティングに限界があるとのことでした。
今の手持ちのフレームでは私にぴったりには出来ないということです。
やはり自分サイズの自転車が欲しい。
そして台湾という走りに行きたい場所ができたので、新しい自転車でチャレンジしたい。
アサギマダラも飛んでますから~
しかし自転車は高級品、もう神頼みしかないということで、廣峯神社の九星詣りで祈願をしました。
その後の話です☆
作ってみたいけれど、なんだかハードルが高いのよねと思っている方のために、私の自転車作りをブログに書いておこうと思います。
1.予算
予算、120万円です。
以前にもオーダーしようとした事があるのですが、コロナもあって上手く行かず。
その後は夫に却下され続けていたフレームオーダー。
今度こそはと「自転車 120万」と紙に書いてテーブルに置いておいたら、なんと夫のOKが出ました。
自転車ってこんなにかかるのですね
夫のOKに本当にびっくりしました。感謝です。
2.フレームビルダー選び
どんな工房なのか行ってみないとわからないので、ご縁があったフレームビルダーさんを順番に回ることに。
まずは、ヴィンセントさんもオススメの、家から一番近い工房・尼崎のbicycleplannerさんへ。
自転車を作るHさんはとても背が高い方なのですが、なんと身長150cm位の小さいサイズの自転車を作るのがお得意なのだそうです。
高校から自転車競技の世界に入り、鉄、アルミ、カーボンといろんな素材の自転車に乗って試してこられたそうですが、鉄が一番良いと思われたそうです。
しかも、「とても良く走りますよ!実際に僕が使って良いものしか作りませんから」と。
使って良いものって、フレームサイズの小さいのには実際に乗れませんよね?とその時は思いました。
しかし、試乗車に乗ってみたところ、坂道で後ろから誰かが押しているような、スルスルと登る自転車に感動!!
思わず後ろを振り返ったくらいでしたが、今までのバイクと全然違う乗り心地でした。
もうこれだ!と思ったので、自転車作りをお願いすると、一年後になるということでした。
3.レンタルフレーム
こちらは試乗ではなく、フレームをレンタルしていただけるサービスです。
購入することを決めていて、先にいくらかお金を納めています。
自分のパーツを載せ替えて、四ヶ月半お借りできました。
DI2に対応していないフレームだったので、私の自転車から載せ替えられたの一部のパーツのみで、その他のパーツはお借りすることができました。
早速乗ってみたら、万葉岬、賀茂神社参道はいつもよりよく登れたのでびっくりしました。
本当に感動でしたね~✨
しかしなぜかいつも登っていた廣峯神社の参道は登れず、ショックでした。
ここが登れなければ楽しくないのに・・・なんどかチャレンジしましたがダメでした。
やはり重い、このフレームをオーダーして大丈夫なのか、とても不安になりました。
そうだ!軽量化しかない!と思って、果たして何キロあるのか、体重計に自転車を抱えて乗ってみたところ、体重計が壊れました。
昨日は普通に使えていたんですけどね・・・
練習して乗れるようになれというメッセージでしょうか。
それから、このフレームで300kmのブルベに出ました。
走り心地はとても良くて、疲れても最後まで自転車が前に進む感じがありました。
でも坂道は厳しく(リアが25Tでした)肩や胸に痛みが出て、重いからなのか体力消耗が激しかったです。
それから何度か走ってみて、肩への突き上げ感はハンドル位置のポジション調整で気にならなくなりました。
ハンドルを振動を吸収する材質に変えたらもっと良くなるだろうと思いました。
しかし、この素敵なワインカラー!
この自転車でいいのではと思えるほど素敵な自転車です。
レンタルフレームで安曇野や大阪ワイナリーライドにも行って、たくさん楽しい想い出ができました。
やはり軽くするのを重視して、いろんな加工(ライトや篠笛を固定するものをつける)はやめることにしました。
Hさんは重量はあまり変わらないし、自転車の重量は走りにそこまで影響ないですよと笑っていました。
4.デザイン
フレームオーダーで一番気になるのはデザイン、塗装をどうするか、ではないでしょうか。
フレームの形状はこちらが選ぶのではなく、一番良いジオメトリーがあるそうなのでその事についてはお任せでした。
自転車のイメージですが、私は「太宰府天満宮の麒麟像」が雨上がりに、濡れて美しく光り輝いているのをみて、これだと決めていました。
「麒麟」に乗って、いろんな所を走れたらどんなにスピリチュアルなライドになるでしょう!
その「麒麟」を再現することができる、デザインもできるであろう塗装屋さんがいるときいていたので、すっかりお任せるつもりだったのです。
ですから、色くらいで、あまり何も考えていなかったのですが、急に日程が合わないなどの理由でいつもの塗装屋に出すということになりました。
この自転車でプリンセス物語のライドツアーを企画しようと思っていたので、特に女性に絶大な人気のディズニーも取り入れようと、ディズニー物語の「リトルマーメイド」から「海」のイメージを加えました。
「リトルマーメイド」は平和へのメッセージもあり、人魚が多国籍なのはこれから始めたいツアーのイメージとも重なります。
そこで問題になったのは、デザインなど自分で決めなければならず、麒麟や海をどう表現するかです。
色だけではな~と考えていたら「ラップ塗装がイメージに近いのではないですか」とHさんからご提案が。
調べてみると、ラップを使い下地に柄をつけ。表面にキャンディーカラーという透明な塗装をする面白い方法です。
大体何色にするかは決まっていたものの、ラップ塗装をイメージしながら、いつもお世話になっているデザイナーさんにフレームのカラーイメージを作っていただきました。
パソコンで作るイラストの方が実際の色見に近いカラーを組み合わせられるので、考えがまとまるし、はっきり伝えられてありがたいです。
ラップ塗装は試作品を見せていただいたところ、上品な仕上がりで想像以上に良い感じでした。
ロゴも入れたいので、ちょっと斜めにした「風羽李」をフレーム幅に合わせて、データでお渡ししました。
ゴールドをアクセントにすると、煌びやかで女性らしい素敵なフレームになりました。
途中からイメージが加わったり、ややこしいお願いだったと思いますが、根気強く話を聞いて下さって、いろいろと意見を言ってくださるので、Hさんは本当に頼りになりました。
5.パーツ選び
まずは駆動部分をどんなものにするのかです。
ブレーキは坂道も雨でも安心の機械式ディスクブレーキです。
やはり日本製のシマノの「アルテグラ」が丁度いいのではないですか? いろんな方がそうアドバイスしてくださいました。
しかし「やはりデュラエースだと全然違う」という言葉を何度か耳にしていたし、なんと言っても軽いので、「デュラエース」の路線が捨てきれず、デュラエースにしました。
フロントフォークもカーボンを使われている方が多いので、どうしようか迷いましたが鉄にしました。
Hさんも鉄がおすすめだそうです。
ハンドルはもう何年も前から使ってみたかったカーボンのハンドル、ワンバイエス グランモンロー SLです。
ステムもカーボンがいいかなと思いましたが、当然ながらカーボンって黒しかないんです。
せっかくフレームが光って綺麗なので、シルバーで色を揃えることにしました。
いろいろご提案してくださったカタログから、シートピラーはチタンアルミのものがいいとメッセージを送ったら、実はHさん御自身用に買ってあったそうで、そちら譲ってくださいました。
ステムは少し輝きが違いますがシルバーのアルミのものです。
アルミの方が計量だったりするなど、プロのアドバイスは助かります。
それからホイールですが、手作りのフレームなので、ホイールも手組みがいいと思いました。
スポークはシルバーでニップルはゴールドです。こういう色合わせが楽しかったです。
サドルは今まで使っていたものをそのまま使用(他のサドルで合うかどうか試している余裕がないから)
そしてヘッドセットはクリスキングにしました。
輝くゴールドはアクセントにもなり、バーテープもゴールドです。
以上、この自転車で手持ちの部品を取り付けたのは、サドルとペダルでした。
6.鉄について
なぜ鉄が良いと思ったのかというと、以前にサイクルモードでデローザのネオプリマートに試乗したことがあり、その時から鉄の自転車の乗り心地がとても気になっていました。
そして鉄が人と共に、地球の歴史を刻んできた神秘的な素材であるからです!
鉄で作られた刀は、霊威を持ったもの、神聖なものとして神格化されました。
そして自転車をはじめ、自動車、船、飛行機と鉄で作られた乗り物が人類の文明・文化の進化に大きな影響を与えてきました。
自転車は女性の権利確立に大いに役立ったのですが、まだもっと大きな役割があるのではないか、そんな気がしてなりません。
鉄は最初に日本に製鐵技術が伝えられたという出雲から、姫路まで続く出雲街道で、いろんなものと一緒に、技術と共に運ばれてきました。
今も姫路港から輸出されるのは九割以上が鉄製品で、姫路は今も鉄の町であります。
姫路に工場のある日本製鉄さんのホームページに「鉄は、人と地球とともに」という動画があって、鉄がどんなに素敵な素材なのか、とても分かりやすい動画です。
自転車も登場します!
7.工房の近くにある神社が凄かった
工房の近くに、船詰神社があります。
工房に行く途中、神社があるなと前を通り過ぎて、道に迷ってまた神社の前に来たので寄ってみました。
するとそこは全国でも珍しい鳥之磐樟船命が御祭神の神社でした。
鳥之磐樟船は「空飛ぶ船」の意味で、古事記には天照大御神様より、使者の建御雷神に従って、大国主命の許へ至り、出雲の国譲りの大業を成し遂げられた神様です。
つまり、神様の乗物の神様が工房のそばに鎮座されているという・・・
ここで自転車を作ったお陰で、古事記の勉強になりました。
車で10分かからないところです!
自転車が出来上がって、交通安全祈願をお願いしました。
神主さんは昔ロードバイクに乗って、六甲山に登っていたそうです!!
とても素晴らしいバイクを見せてくれてありがとうと褒めていただきました。
8.結局いくらになったのか
フレーム代(塗装込み)425000円(この金額はフレーム、塗装によって変わります)、当日にボトルゲージを付けていただきましたが、パーツと取り付け工賃を入れ、税抜き価格はおよそ120万円!
税金まで知らんわと神様のつぶやきが聞こえてくるようですが、税金を含めて、総額132万円となりました。
組み立て以外にもいろいろと相談にのっていただき、本当に自転車作りが楽しく、感謝でした。
今は一台200万円越えの自転車もあるので決して高いわけではありません。
フレームオーダーでのバイク作りのご参考になれば幸いです。
9.乗り心地はどう?
ちょうどWomens100が開催される前日に受け取りが出来たので、参加する予定はなかったのですが、私も走ることができました。
乗り心地はとてもよく、まるで自転車が生きているかのようにするすると走ります。
デュラエースの変速はスパッと決まって、このストレスの無さは上級者の領域です。
新しいシューズを買っていたので、クリートの位置が合っていないのとハンドルが少し近いかなと思いました。
このシューズは次男が就職したときに、何かプレゼントしてくれるというので、予算を聞いてお願いしました。とても嬉しいです。
そして、またフィッティングのために京都のヴィンセントさんの所へ。
画面に映った自分の姿を見て、今までと違う!とびっくり。
自分サイズは乗る姿もカッコいいのです。
そして翌日、いよいよレンタルフレームで何度かチャレンジし、登れなかった廣峯神社の参道。
この夏暑すぎてほとんど乗れていませんでしたが、良い感じで、体のどこも痛くありません。
いよいよの参道もするするっと、麒麟の背に乗るように新しい自転車で登ることが出来ました!
よっしゃ~と、そのまま息吹木まで!\(^_^)/
登れた・・・凄い・・・感動して泣きました・・・
素晴らしい自転車をありがとうございました!!!
これからは自分にぴったりな自転車で、自分らしく、自らの目的に向かって走りたいと思います!