2回目の400㎞ 時間はいのち
このパワーだったら時速30㎞は出るはずですけど、風がきつくて今日は残念ですねとY君が言っています。
へぇ、パワーメーターがあるとそんなこともわかるんですね!欲しいかも。
すぐ離れてしまい、間を詰めることが出来ないので一人で走っているのとそう変わりません。
でもこれでいいと思いました。
それは何百キロも誰かにずっと風よけになってもらうことで、私のたましいが曇らないか・・・そんな心配をしていたからです。
時間はいのち
この大切な時間を自分のためでなく誰かのために使うことは、なかなかできない事なのです。
しかもただ使うのではなく、相手を思いやること・・・
先に走った先でY君は私のことを待つという時間を爽やかに使ってくれています。
だから追いついたらお待たせしましたとかすみませんとか、お礼の言葉を言ってきました。
でも私もいつも以上に踏んで頑張って走っていますし、若干膝が痛くなってきました。
ふとその時に私もY君を少しでも待たせないために頑張っているのだから、Y君のために使っている時間といえるのではないかと気づいたのです。
誰かのために時間をつかう事はたましいを輝かせることにつながる。
普段から私はそう思っていたので、このライドも当てはまると思うとニコニコとして笑顔で追いつきました。
準備をちゃんとしたか、しなかったとかも、最後に一緒に走った時が最終確認で、それ以上の練習がどこまでできたかなど、明確な走力の指標もないのにわかりようもありません。
だから気にするのを止めました。
Y君に「なんでもたましいで考えるとすっと心に入ってくる」と笑って言いました。
もっとお話したかったけれど、サドルトークができるタイミングは少なく、でも晴れやかに楽しく走れました。
三朝温泉のコンビニで後からスタートした男女と一緒になりました。
男性は背が大きく、女性が小柄な方です。男性はニコニコと輝いていますが、女性はこの時間だと完走は難しいんじゃないですかと別に言わなくてもいい事を言ってきます。
この晴れやかさの違いは・・・まさか風よけにしてきたから?と思ってしまいました。曇らなければ良いですが。
そしてY君が早い段階からDNFと言っていたので、なんとなく最後まで一緒に走ることは難しい気がしていました。
Y君は皆生温泉から先の峠を600㎞の時に走ったそうですが、真っ暗で、怖くて、かなり寒いと忠告してくれています。その嫌な感じ・・・そうなのですね。情報ありがとうございます。
私の装備では無理だと思うと言うので、一応カイロと手袋を買いました。
皆生温泉に着いて有本松太郎翁像でフォトチェックの写真を済ませた後、どうするかを話し合いました。
お互いにもう時間内完走はかなり難しいと思っていましたが、どうするかで意見が分かれてしまいました。
私は調べていたおーゆ・ランドに行くことにしました。入るだけ450円です。https://maps.app.goo.gl/r1dZjAKhTerC6GVu5
私はこのブルべで何をしようとしているのか、もちろん完走したいけれど、暗闇を恐れることなく、たましいを強くしたいのです、とY君に言いました。
ここに着く少し前から、たましいの事を考えていて、そう言おうと思っていました。
そして今回はなぜか頑張り過ぎず、神のご加護に気付くこと、それが目的だったと思うのです。
ただそれがどういうことで気づくことができるのか全くわかっていませんでした。
若干ぽかんとしているY君に、私は温泉に入って少し仮眠をしてから再出発をするので30分ここにいることを伝えて、Y君も僕は温泉には入らないしどうするか考えてメッセージをいれると言って、温泉の前でそれぞれ自由にすることにしました。
なんだか悪いことをしたと思いつつも、ここからはひとりでゆく事が決まっていたように思いました。
急いで温泉に入ると冷えたお尻も膝も温まって、痛みも和らぎました。
皆生温泉の効用は素晴らしいです。
仮眠10分、それでも回復したので出発することにしました。
メッセージを見たら、あんなにこの先を嫌がっていたのにY君は先にひとりでいった様で少しびっくりしました。
しかし、だからY君と走ることになっていたんだなと思いました。
私は他の人だったら、女性がひとりでは危ないと待っていたのではないかと思いました。
期待していたのという事はありませんが、本当にここまで一緒に走ってくれたY君には心から感謝でした。
ふと温泉の入り口にお花のいい香りがして、たくさんのお供え物があり、仏様が祀られていることに気が付きました。
ちらっとみてびっくりしたのですが、今始めたばかりの播磨三十三か所観音様巡りで見かけた仏像と同じお顔に見えたのです!
赤いお顔で目を見開いてこちらをみておられるので少し怖いのですが、どんな仏像なのかよくわからず、ここにも祀られているなんてと思い、道中の無事を通りすがりにちゃんと手を合わさずにお祈りしました。
それから走り出そうとしたら、なんとガーミンがフリーズして動きません。
焦って長い間いろいろやってみて、友達に聞いてみたり、こうなったらスマホのGPSアプリで走ることも考え、またそれもうまくいかず・・・ハァとため息。
もう落ち着いてやり直そうと、ちょっと走ったところに快活クラブがあったのでそちらで夜を明かすことにして移動しました。
右に曲がったらお店というところまで来た時に、なんとガーミンが復活してナビ表示がでました。
いろいろボタン操作をしたので固まっていたのでしょうか。もう1時間くらい経っていました。
とにかく走れることになったので、走るよねとくるりと向きを変えて走り出しました。
もう完全にどう頑張っても時間的には無理なので、全く頑張る必要がなくなりました。
適当な時間にDNFの連絡を入れて、後は暗くて怖くて寒い峠を越えて姫路に帰るだけとなりました。